昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

珊瑚についての豆知識

 自分のノートに珊瑚の記述があったので、ちょこっとまとめてみたいと思います。

 実は生物としての実体は殆ど知られていないので、今後新種の発見が可能性が高い分野。中には100年程前に発見されたのにも関わらずその後発見されていない幻の種というのもあります。相模灘で発見されたボウシュウサンゴ、ミゾサンゴ、コサンゴがそれに当たる(写真は残っている)。

 

 珊瑚には宝石となるものと褐虫藻共生するものとがある。後者は珊瑚礁を思い浮かべていただければ判り易いかと。
 一口に珊瑚と言っても、ヒドラ類とイソギンチャク類に分けられる(イソギンチャク類は六放と八放に分けられる)。同じ珊瑚として括られていながらその違いは大きく、分類学上ではヒトと鳥類ほどの違いを持つとか。その為珊瑚の棲息領域は広く冷たい所、温かい所、浅い所、深い所、様々なものがいる。中にはクラゲに近いものもおり、ぐにゃぐにゃに軟らかいものもいれば、口はあれど肛門がないといったものもいる。

 

 バイオミネラリゼーション(生物鉱化作用、生物が作る鉱物)によって形成された珊瑚も、骨格を形成する炭酸カルシウムの性質の違いによって宝石になるものとならないものがある。  
 現在中国に密漁(←取り敢えずまとめて地獄に堕ちろ)を重ねられている珊瑚は、宝石珊瑚といわれているもの。2011年(平成23年)の段階では、31種類が確認されている。また、その殆どが深海から発見されている。国産はそのうち7種類が確認されている。しかし、研究は殆ど進んでいないので新種が見つかる可能性が高い。
 宝石珊瑚の中にベニサンゴという種がいるのだが、これは珍しく比較的浅い海域からも採取されるものだそうだ。

 

 宝石珊瑚も大きく分けて3つに分類される。宝石珊瑚も宝石になる部分とならない部分とがある。宝石になる部分は「共肉」という。

  • 生木⇒共肉がついた状態で値打ちが高い。鮮度も高い。
  • 枯木⇒死んで共肉がなくなったもの。
  • 落木⇒折れて海底に沈んだもの。

 イカのクリスタル寿司ではないが、鮮度が命。
 深海生物なので成長に時間が掛かる。1㎝育つのに30年。今回乱獲で深海環境や土壌も荒されていることは想像に難くないので、更に時間が掛かるだろう。若しかしたら育たなくなる可能性もある。
 折角台灣の漁場荒らしから立ち直ったってーのにな。

 

 余談になるが、色は以下の様な表現を持つ。ボケは多分日本語から来ていると思う。ぼけた色ってことで。

  • スカッチ⇒成長の過程では色が変化しているもの。アカサンゴのは特に珍しいとされている。  
  • ボケ⇒薄い桃色の珊瑚(日本ではあまり人気がないらしい)。海外ではエンジェル・スキンと言われ、評価が高い。 
  • ガーネット⇒赤紫色を基本とする色をさす。

 

 世界の珊瑚について。

  1. 欧州:イタリアが中心地。大仏開眼の儀式の時に光明皇后が身につけていた珊瑚の簪はイタリア(ローマ)から来たもの。
  2. 北アフリカ:モロッコ。アルジェリアに見られる。技術が未熟なのかそれを是としたのか不明だが、研磨が荒い。
  3. 西アジア:珊瑚よりも、トルコ石、カーネリアン、琥珀が多く用いられた。珊瑚を好んだのはトルコとイエメン。
  4. 東アジア:日、台、中、朝に見られる。日本は明治以前は殆どが輸入品で、胡渡りと呼ばれていた。
  5. ヒマラヤ:チベットブータン、ネパールに見られる(ものはヤマサンゴ?)。特にチベットが好んだ。恐らく仏教の観点からだと思う。

 

 日本で珊瑚というと最も有名なのが土佐珊瑚。その質の良さから、イタリア人がわざわざ買い付けに来るほど。
 真珠のように薬としても使われるが、効能は不明。パッケージを見た事はあるのだが、外国語は読めませんでした。
 
 珊瑚に似ていて珊瑚ではないものはダメサンゴと言われ、サンゴモドキ科という科に分類されている。こういった名称は改める動きが学会にはあるのだが、これもやがては変わるんだろう。一体どんな名称になるやら。

 専門家ではないので、質疑応答は出来ないが、豆知識はこんなもんです。