昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

沈降する花香

 その姿は見えないのに、梅の薫香が夜気にまぎれていた。たっぷりと濃厚に香るそこは、長い間人が通っていなかった証拠だ。長いっていっても花の香りが花から離れ落ち、その下に沈降していくくらいの時間なので、単位としては何時間かくらいだが。

 

 無風の夜を過ごした明け方、梅樹の下や桜花の下を通ると、木々が眠っている間に零したであろう香りが溜まり、自分の動きに合わせて舞い上がるのは堪らない。雪上に落ちる山茶花の甘い香りも好いが、春が来るなぁと思うのは梅だね。

 山間部で育ったというか山間(やまあい)の方で育った人ではないが、春先になると梅、腿、桜、山茶花、木蓮、雪ノ下、山吹などが(標高違いではあるが)1つの(?)山に一斉に咲いているのと見ると、とても得した気分になる。春濃縮♪ってな感じで。ちなみにそれを経験するのは、大体春のお彼岸でお墓参りに行った時である。

 桜(ソメイヨシノ)が咲く時期より少し遅れて梨、林檎、さくらんぼ、苺の花が咲く(自分が生まれ育ったところはそうだ)。藤が咲くころは都忘れとブルーベリーと柿が咲くかな?コデマリハナミズキもこの時期だったか?

 

 キリがなくなるのでいい加減にやめる。そして本日お茶はしていない。