昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

超・日本刀入門展に行った

 場所は静嘉堂美術館。世田谷美術館に匹敵するくらい駅歩がある。といっても徒歩20分くらいだが。んで、美術館入り口から館まで5分ほど歩く。世田谷美術館も砧公園に入ってから5分以上歩く。


 で、自分はのらりくらりと二子玉川駅から歩いていきました。時刻表が変わっていなければ20分に1本なので、歩いて行った方が早い。

 

 昨今日本刀ブームらしい。何でか知らぬが、敷居が低くなり人口が増えることはいいことだと思う。表層的に終わらなければな。

 で、専門用語が難しすぎるのは納得いくとして、どこを見ればいいか分からないとか全部同じに見えるという疑問を持っている人がいるということには驚いた。つーか、普通に見ても違うだろうがっ!知識なくてもそれくらい分からん?とツッコミを入れたい。


 展示品の1点1点に、この展示で初めての目の当たりにする人や、カンショウする人の為にも基礎知識満載の解説がついておりました。「カンショウ」がカタカナなのは、観賞の人もいれば観照の人もいれば鑑賞の人もいるだろうからという点からカタカナにしてみた。全部意味違うからね。

 

 日本刀がブームになる前から日本刀好きな自分は、観賞に関しては独学です。始めは書籍もネットも学習媒介なぞ一切使わずに、実物を目にして感じて、これに斬られて死ねるなら本望かも・・・・という感情を基軸に観てきた。
 現在は初心者向けの書籍を買ったりして来歴や背景を学んだりしているが(相変わらずネットは使わない)、やはり本物を目にするという行為には敵わないなと思う。
 あと、運がいいことに独自に辿り着いた見方と、展示品としての刀剣類を観賞するにあたって最適な方法が全く一致したこと。これは嬉しかった。尤もこれは誰でも行き着くと思うので、自慢にゃならんが。

 

 打ち刀よりもどちらかというと太刀が好きなので、室町初期以前のが好きですね。特に鎌倉時代は太刀の全盛期かつうっとりするようなものが多い。平安時代でも獅子王とか友成といった優美なものもあるけどね。そこまでいくと始めは実用品後美術品というよりは始めから芸術品といった方が相応しい領域のものだと思う。 


 展示品二十九振りは全て静嘉堂文庫美術館所蔵。秘蔵コレクションでここまで一堂に公開される事はなかったようだ。その中に国宝指定されているものもある。何を隠そう、手掻包永(てがいかねなが)である。手掻は大和五派といわれるうちの一派。包永は刀工の名前。
 包永もいいが、個人的にはそれよりも少しだけ後の新藤五国光の方が好み。優美にしてスレンダーな美人!(←戻ってこーい)自分が一番目にしているのが相州伝であるせいなのか、Made in 相模国は好きだ。

 

 天下五剣の一振りを作刀者、伯耆安綱(ほうきやすつな)が作刀した太刀もありました。展示品の中では最も古く唯一平安時代に作刀されたもの。10世紀とあったので、平安時代でも中期。文学や芸術面などを見ても色々と花盛りの時期のもの。
 展示の流れは古い⇒新しい。という流れになっており、その後戦国時代で臣下に下賜されたものをエピソード付きで紹介。それに刀に付き物の小道具や鍔、印籠が展示されていた。ここでも有名どころが♪後藤一族は勿論、柴田是真さんのもありましたよ。

 

 中身は古くても拵えは後世に作り直されたものが多いので、当世はどんなんだったんだろうか?と想像を廻らせるのも面白くはある。
 して、誰でもというわけではないが、日本刀を見に行ったことがある人が知っているようなものを挙げておくと、長曽弥虎徹(時代によって乕徹とも古鉄とも書いた)、備州長船シリーズ(備前長船と言えば通じがいいかな?)、一文字シリーズ、源清麿(四ッ谷正宗と言って分かるだろう)、来国光だろうか。一文字シリーズはバサラが好みそうな華やかさを持つ。来派は安定したクォリティーを打ち出すといえば何となく想像はつく? 

 

 春日大社展でもやったが、キラズの悪いクセが発動したのはいうまでもない。⇒合金などの材料組成や薬品処理、彫金技術及び道具、製作工程などを実物を前に思考する。大した知識も持ち合わせてもいないのに。
 分かっていますよ、人の邪魔になること自体。
 組成でいうなら金属だから、オーステナイトとかマルテンサイトとかそういったもの。分かる人は温度変化による組織変容図なり、粒状変化の組織写真なりを思い浮かべて下され。
 同じように作っても同じようにならないのは、人の思想が籠められてこういったものになったとも言い換えられるだろう。なら、作刀者(刀工に限らず)や所持者は何を思い描き、何を追い求めていたのだろうか。と思う。

 所持者は少なくともブランド品を持っているから人格にハクが付いたという、浅はかな考えではなかったと思いたい。

 

 この後裏庭へ。
 反対側の出入り口が秘密基地へ抜けるような感じで好きだったのだが、工事中だったのでこちらに回った。こちらは秘密の花園(←その表現はヤメレ)行き?

 あ、 時間の都合上写真は割愛。