昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

これぞ暁斎!展に行ってきた

 7日に行こうと思った⇒下車駅は熟睡して通過(自分が降りる駅はその先)。
 14日に行こうと思った⇒晩御飯に誘われて食べに行く(行き先が自分のお気に入りのお店だったので)。
 んーで、本日漸く行ってきました。しかも家の仕事片してからだったので会場に着いたのは16時近かった。しかも末期だったから混んでいた。
 
 3歳で絵を描き始めて、19歳で諸派の修行を終えてひたすら描きまくる人生を送る。幕末から明治という激動の時代を生き抜きながら。海外の新聞で訃報が掲載された初めての日本人。かの有名なジョサイア・コンドルのお師匠さん。
 河鍋暁斎というと、知識がない人がすぐさま思い浮かぶのは血みどろ絵かと。

 

 今回の展示は全て英国在住のイスラエル・ゴールドマンさんのコレクション。始めは55ポンドが購入した達磨の絵から始まり、いつの間にか魅せられて現在に至る。ご存命中、あと幾点集まるだろうかな?

 

 序章  出会い ゴールドマンコレクションの始まり
 第1章 万国飛 世界を飛び回った鴉たち
 第2章 躍動するいのち 動物たちの世界
 第3章 幕末明治 転換期のざわめきとにぎわい
 第4章 戯れる 福と笑いをもたらす守り神
 第5章 百鬼繚乱 異界への誘い
 第6章 祈る 仏と神仙、先人への尊崇

 

 が、今回の展示順序。
 個人的にオススメなのが第4章。鍾馗(しょうき)さまネタが多いのだが、使い古された題材をこう展開するか!?というものが多く、面白かった。
 例えば《鬼を蹴り上げる鍾馗》、《鬼をおとりに河童を捕まえようとする鍾馗》、《鷹に追われる風神》。

 

 暁斎自身、能楽にも精通しているのでそういったものを題材にしたものも多い。
 また国芳の影響もあってか、猫好きで猫を描いたものも多い。
 狩野派などの影響も見られるが、先日国芳展に行った所為か、国芳の影響を拾うことが多かった。《家保千家の戯れ》なんか、もろそう。国芳の《ほおづきつくし》のパロディ。あ、家保千家と書いて「かぼちゃ」と読みます。

 

 当世の絵師とのコラボレーション掛け軸もありました。《野菜づくし》と《魚介づくし》。しかし野菜の方は石榴他果物も入っていたので野菜というよりは蔬菜だな。と。
 国芳門下において兄弟弟子である月岡芳年とのコラボもありました。
 
 構図として「おぉ!?」と思ったのが《月に手を伸ばす足長手長、手長猿と手長海老》、《五聖奏楽図》、《大仏と助六》、《お化けに腰を抜かす男》、《三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪》他。
 《月に手を伸ばす足長手長、手長猿と手長海老》は縦長の画面を斜めに使っていて、月にあとちょっとで手が届くという臨場感がいい。
 《五聖奏楽図》の五聖は神武天皇磔刑された基督、孔子老子、釈迦のこと。基督を除いて奏楽している。意図が分からないが、明治という時代を考えて、批判なんだろうかな?と思えなくもない。
 《大仏と助六》は縦長の構図で、画面に入り切らない位大きく描かれた大仏の唇に乗って見得を切る助六。大仏様はそれを下目使いで眺めているといったもの。今回初公開のものが多いとは知ってはいたが、結構衝撃的でした。構図もそうだが、その意図の分からなさに。そもそもそんなものもないのかもしれないが。
 《お化けに腰を抜かす男》は陰翳の効果が、《三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪》は空間(空白)の使い方が素晴らしいと思った。


 第6章に関しては、同じ人とは思えない。晩年暁斎の胸に去来したものが何だったのか、分かるような分からないような、不思議な印象を受けます。世界的に評価を受けた鴉の絵もありました。鴉だけを集めた第1章で見たものとは、同じ鴉でありながら何だか違った印象を受けました。

 

 第4章に別枠として春画の展示もありました。特に年齢指定などなかったので見てきましたが、何かそこのエリアだけがしぃんとしていた。何でだ?
 明治に入る前のもので《稚児男色絵巻》てなもんがあったが、キリスト教の概念とやらが入ってくる前は御家の事をちゃんと済ませてりゃ、別に男色なんぞ禁忌でもなんでもなかったんだっけか。などと思う。『葉隠』にもまるまる1章衆道に関しての記述あるくらいだしな。読めば分かるが、愛でられる方は女性とは違った意味で命掛け(逆にそこまでいくと却って清々しさすら感じるよ)。

 

 図録を買っておくべきだったか。と思いつつもショップで数点ポストカードを購入して帰宅。その後ケーキも買ったが。

 

 本日のお茶。

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 お茶は杉谷さんのお茶。静岡県で作られている紅茶。
 お茶請けはロイスダールさんのレアチーズケーキ(かなりへヴィ)。