昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

深海展とマリモの謎展とフローラ ヤポニカ展とボストン美術館の至宝展に行ってきた

 ほい、さぼた~じゅ血行(←・・・・マテ)。

 やたらめったら無駄に長いので御留意を

 

深海展

 場所は全て上野。開館30分前に到着したのだが、既に30人ほど並んでいた。

 一部を除く写真撮影がOKだったので色々と撮ってきた。350枚くらい。整理が大変だろうけど・・・・。

 

 興味がある人多いんだろうね。老若男女バランス良かった。前半の流れは遅いのだが、後半になると速くなっていった。人の多さと集中力の問題だろうな。あと、通勤・通学ラッシュよりも過酷なカバン・アタックが延々と続く所為もあるだろう!

 

 会場の流れは、深海とは何ぞや?⇒深海と生物(標本パラダイス)⇒深海と巨大災害⇒深海と資源⇒深海と地球環境⇒深海を調査する機器といった順。

 深海と生物が最も長く、そして分かり易かった。中には新種の認定待ちの標本もあった(撮影禁止)。イワシか何かの仲間らしいのだが一瞬「シーラカンスか!?」と思ってしまうくらいゴッツイヤカラでした。

 

 水深ごとに区切られて生物が紹介されていたが、似たような種でも徐々に小型化していったり、色が褪めていったりして面白かった。あと、和名が多い。ダイダラボッチなんてまんま日本語の固有名詞じゃねーか。

 次に、喰う為の工夫、喰われない為の工夫、つまり進化したのを特定の固体をピックアップして紹介。これは物凄く感度の高いカメラを使って撮影した映像付き。CGのもあったが、殆どが実写。

 深海の生物は発光する器官を持つものも多いのだが、その発光の色というのが大体青系。恐らくトワイライトゾーン(僅かに太陽光が届く帯で、大凡1千m位)に届く太陽光が青色だからだろうな。そんな中、何故か黄色に発光するものもいた。理由は未解明。だそうな。

 

 それの次は、今まで枠組みを作ってまで紹介されることのなかった、南極の深海生物などが紹介されていました。説明などを読んで深海の中でも特殊な海域という印象を受けました。4Kシアターで映像も見ましたが、南極にしかいない生物や今回初めて生きている姿を捉えた巨大イカが非常にクリアーに映っていて驚きましたさ。

 

 深海は環境変化が少ないので、急激な環境変化を受けると対応できずに死滅してしまうとのことなのだが、末端の生物に影響があるということは食物連鎖によって強者(頂点)とされているものに影響を及ぼすのだが、深海における食物連鎖の頂点というのは決着が付いていないとのこと。

 その候補の模型と生きている状態の映像も公開されていましたが、皆さんきょ、凶悪ですな・・・・(滝汗)。併せてなんで深海なのに巨大化したのかという謎にも迫っておりました。そしてダイオウイカの標本もあった。模型と比べると大分小さいが、それでも作ったんかい!?と思わずにはいられなかった。

 ただ、アヤツラそのままだと巨体を維持出来ずに沈むので、体内にアンモニアを持って浮力を作っていると。ということは、食べるにはアンモニアを抜く必要があるな(←そもそも食う必要があるのか?)

 

 ここくらいまでがかなり流れが遅い。が、ここから徐々に速くなってゆく。

 

 深海の中でも6千mよりも深い所を超深海というのだが、蛋白質も水圧でぶっ壊れるとのこと。しかしながらいるんだよね、生き物が!

 そんな苛酷な極限環境に生きている生物の紹介。そしてここでも映像を紹介。その深さは確か8千m級だったかな?ふにふに魚が泳いでいるんだよね。映像には皮膚の皺までもはっきりと映っていた。ここでも文明の進化を感じた。

 

 下町プロジェクトの一環である深海探査機、江戸っ子(?)1号も展示されていました。試験潜水は成功しており、今後更なる研究的・商業的な展開に期待を掛けられているようだ。

 

 海底噴出熱水というのがある。深さによっては400℃を越える場所もあるという。圧力が高いのでそんな温度でも沸騰はしません(ボイル・シャルルの法則でしたかな?)

 で、地球上の生命起源説の一つにこれがあり、そこから誕生したのでは?と言われている。条件の他元始的な構造の生物が見つかっているというのが理由の一つだそうで。

 残るは彗星の種まき説と地上においての熱水(温泉)説。  ちょっと専門的な展開を見せた後、続くは日本周辺の深海生物相。

 

 日本海三陸沖をモデルに寒冷期と温暖期を繰り返したことにより、生物の進化にはどういった影響を与えたのか。地学的な変動が特に日本海の深海生物にどういった影響を与えたのか。というのを化石や標本を交えて展開。

 18万年前の地層から現在までの地層ウェハースには寒冷期と温暖期に明確な違いが読み取れてこんなにも違い出るもんなのかと思ったね。視覚化されるとよく分かる。中には生物がその層で活動していた痕跡というのもあり、この層の中にも(微)生物が混入しているんだろうと思った。

 この章を踏み台にして、深海と巨大災害に続いた。

 

 東日本大震災の前にも地学的な観点から、地層に刻まれた地震の周期による次の大地震の予想が立てられていたが、あまり相手にされていなかったんだよな・・・・・・。

 これ、『SORA』という気象雑誌にもあったが、地層や古文書の他に古い神社(東北地方なら江戸時代中期より創建が古い場所)、昔ながらの地名は津波などの規模を知る手がかりの一つとなる。とあった。

 この巨大災害のモデルは3.11。メカニズムや調査方法及び実際の調査について細かく映像付きで紹介。

 

 当世国民に知らされることなく3.11が起きたすぐ後に日本以外にも調査船のちきゅうに乗り、研究者達が動いていたことが紹介されており、何か言い知れない感情を覚えました。

 あ、負の感情でないことだけは確かです。日の当たるような仕事ではないが、確かに存在しているのだと。そして彼等が動いているからこそ知り得る事が出来たのだと。

 雛形を採取する為の計画も門外漢の自分ですら、その難易度の高さは伝わってきた。

 この活動の後に、どういった結果で何が特定出来るのか?という流れになりまして、説明とその証拠が展示されていました。個人的にこういった展開は好きだ♪

 

 断層がずれた時にその摩擦熱で生まれる鉱物・シュードタキライト。別名「地震の化石」。以前千葉県の博物館で見た事があるのだが、その時に見たものよりも大きかった。加えてそれが生成したズレの厚みは今回初めて見まして、僅か数mmと知って恐ろしくなった。

 一点だけ触れることの出来る展示があり、触ってみたのだがつるつるしていました。摩擦係数低く、滑りで岩石が磨かれるとこうなるのか!というのが経験出来て良かった。普通そんなもの触れんからな。

 この後に来たのが深海と資源。勿論あくまで資源の話。

 

 深海と資源は学校の授業でもやっていたので+過去のこういった類の博物展である程度の知識は得ていたので、その知識を踏まえて読ませていただきました。・・・・・・うん、やはり面白い。

 日本は陸地面積だけだと世界で61番目かの国土面積を持つ国なのだが、海洋面積を含めると6位になる。遠方を含め多島嶼国家だからなんだろうけれど、それに伴ってEEZもそれなりに所有している。どこぞの膨張型侵略国家に強奪を食っている場所や食らいそうな場所はあるが、それはここでは言及していないでおく。

 

 どういった資源があるのかというのは知っている人は多いと思うのだが、実際に実物を見るのは初めてという人がいう人が多かったらしく、母子や夫婦で専門的な話を広げている人達が多かった。

 資源活用に関しては特に説明はされていなかったが、深海を知ることによって何が得られるのか?という成果の一つが展示されていた。

 

 光る遺伝子を組み込まれた植物が展示されていて、そこでは一定時間ごとに電気をつけたり消したりされていた。何だか元素の不思議展でも同じような展示があったなと思い出してしまった。

 その展示も物凄く混んでいたが、今回も本当に理科離れって進んでいるんだろうか?と思わせる盛況ぶりなんだよなぁ・・・・。理論化学以外で座学しているせいなんだろうな。尤も「させられない理由」というのを授業を受ける側にもあるんだろう、カリキュラムや財政以外の問題にも。

 

  調査機器の章は第2会場になるので、第1会場は次の深海と地球環境で最後となる。

 深海と地球環境は、2000年代に入る前から言われていた温暖化や海洋酸性化について語られていた。実際に数値化されたもの示されたり可視化されると、自分が思っていた以上に深刻な状況だということが分かってイヤだった。

 

 海洋の酸性化が進むと甲殻類や珊瑚など「堅固なもの」で守られている者達の鎧が薄くなる。生きていけなくなるよな。・・・・ん?ということは餌がなくなる!?

 

 移った先は第2会場。

 機器はしんかいのコックピット(模型)やその他新しい調査船の模型や機能及び歴代の深海に挑んだ探査船や調査船の歴史などにもちょこっと触れていました。第1会場でも模型は色々とありました。

 自分は結構嬉々として写真を撮っていたようで、「楽しそうですねぇ。」と知らぬ人に言われてしまいました。若しかして邪魔だったんかな?

 

 グッズは売切れ続出。特に買うつもりもなかったが、見ていたら面白そうなクッキーを見つけたので買ってみた。

 

 9時に入って出てきたのが14時。お弁当を持ってきていたのでラウンジでお昼にした。

 お昼の後にボストン展に行く予定だった。が、館内でマリモの謎展なるものが開催されており、展示室も小さいから行ってみよう!と思い立った次第。マリモ~♪(←好きらしい)

 

まりも展

 発見から120年記念だそうです。意外に歴史浅いのだな。  マリモと言えば阿寒湖、山中湖そして琵琶湖が有名。日本の他にも北半球には点在しているらしく、その運び屋は渡り鳥らしい。ただ、阿寒湖のように群生している場所は世界に例がないそうです。アイスランドにあったという報告はあるのだが、その後消滅したらしい。解説パネルにはその理由は書かれていなかった。

 

  分類上2種類しかいないとのことだが、遺伝子のタイプとしては5つに分けられるとのこと。で、各地に広がる遺伝子のタイプなどを見ると、恐らくマリモそのものの起源は日本ではなかろうか。とも。

 丸くなるのは岩にぺりっと付着したのが剥がれて丸まっていったというのではなく、藻が絡み合って風と波によって湖底でくるくると踊るが如く動いているかららしい。ついでに中は空洞だ。

 高温に弱いので、温暖化の影響を受けると腐敗するようだ・・・・。

 

  マリモの展示を見終えて次こそはと思ったが、別の企画展示フローラ ヤポニカのチラシが目に入り、足がそっちへと向く。ボタニカルアート好きなんですよ。しかも『カーティスのボタニカルマガジン』の原画が来ているってんで、そりゃー行くしかないっしょ♪しかも今回国外初公開。

 都合が合えば11月3日の特別講演に行きたかった。英国キュー王立植物園の主席画家と公認画家(日本人)が講演するのだから。

 

フローラ ヤポニカ展

  して、日本列島には約6700種類の植物が自生しており、そのうちの約1800種類が日本固有のものだそうな。日本人画家達が描いた植物画の展示会というのが英国キュー王立植物園であり、そこからまた選ばれて展示されたのが今回のフローラ ヤポニカ展。

 

 『カーティスのボタニカルマガジン』に掲載された原画は、この専門誌の中で紹介された日本の植物で、古くは1808年のナンテン、新しきは2013年のイチョウまでを一挙公開。今まで英国キュー王立植物園以外では公開されたことのないもので、本邦どころか世界初。

 この、『カーティスのボタニカルマガジン』は1787年創刊で、今日でも刊行されている植物学の専門誌。創刊230年ってスゴイよな・・・・。

 

 デジタルでは捉える事の出来ない、人の目で見なければ分からないような記録までを取る事が出来るので、植物学に植物画は欠かせない。機械の目と人の目の違いが明確に出る分野とも言えましょうな。

 画材の違いもあるんだろうけれど、後見慣れている所為もあるんだろうけれど、英国のは色彩がはっきりとしていて目に馴染まない。それはともかく、日本の植物が海を渡ったのはやはりシーボルトの功績が大きいんだろうなとも感じた。

 

 好きな植物を見ると、やはり心が和む。それにクセがないしね。

 ま、そんな頬っぺたゆるるんってな状態で向かった先はボストン美術館の至宝展。時間があれば運慶展も見たかったのだが、せめて3時間は欲しかったのでやめた。

 

ボストン美術館の至宝展

 ボストン美術館は国や州の財政的援助を受けずに、スポンサーやコレクター達及び来場者達の審美眼と善意によって成立している。今回はそういったスポンサーとコレクター達にも光を浴びていただこうというのも兼ねていました。つーか、彼等も有名人ばかりでした。

 

 展示作品群は「マジか!?」といいたくなるようなビックネームばかり。そして今回英一蝶(はなぶさいっちょう)の《涅槃図》が初里帰り。

 しかもこの作品、ボストン美術館に収蔵された後も1度しか展示されたことなく、痛みが酷い為に170年振りの修復だとか。実物は凄く綺羅々々しかった。集まっている者々が少し変わっていて、これは○△だな。こっちは○○だ。と推測しながら観るのも面白かったです。但しあまりじぃっくり見入ることは出来ないですが。

 

 展示は時代順になっている。

 古代エジプト→中国美術→日本美術→フランス絵画→アメリカ絵画→版画・写真→現代美術となっている。

 

 古代エジプトはどちらさん?という人が多かったが、エジプトの他にスーダンから出土したものもあり、エジプトの権力範囲圏ってどれ位あったんだろうか?と疑問が湧いた。

 

 中国美術は6点なのだが、1点は北宋であとは全て南宋のもの。12、13世紀の中国って割り合い平和だったんだろうか?日本側から見るとそーんな感じはあまりしないんだけれどね。ついでに日本だと源平合戦の当たりか。

 陳容の《九龍図巻》は老龍と若龍とが描かれているシーンもあり、驚きました。区別があったのか!?と。

 

 日本美術は英一蝶、曾我蕭白、尾形兄弟など有名どころが多いのだが、合作屏風が見所だと思った。二曲一双の左隻が松村景文+岡本豊彦+東東洋の《松に鹿蝙蝠図》で、右隻が岸駒+呉春+東東洋の《梅に鹿鶴図》。両方とも鹿が入っているが、違う種類の鹿なのでセットで楽しめます。

 

 続くフランス絵画は、全員知っていてもおかしくない。絵画自体知らなくとも名前は教科書記載レベル。若し知らないという人がいたら頭抱えてしまいますね。一例として名前挙げておきます⇒ミレー、モネ、セザンヌゴッホ

 どういった絵か思い出せなくとも名くらいは耳にしたことがあるだろう。

 

 翻ってアメリカ絵画ですが、こちらは知らない人が多いのではなかろうか?自分自身もそう目を向ける分野ではないので知らない人の方が多かった。

 レベルは高いが、アメリカ的か?と問われるとまだそんな感じはない。但し様々ミックスチュア~な感じがあるので、そういったところはアメリカっぽい。

 

 版画・写真の章は名前は知らないが、版画は兎も角写真は既視感が強かった。恐らく知らず知らずのうちに目にしているんだろうな。作品量が少ないのでもっと見てみたかったという思いが強い。

 

 現代美術は、村上隆さんの作品がありました。この方のも賛否両論が強いが、自分は好きでも嫌いでもないな。

 ここはこれから育っていく分野だろうから、まだ自分が消化しきれないような、理解が出来ないようなわだかまった違和感というのを感じた。アンディー・ウォーホルのように自分が生まれていない時代の作品は別だが。

 

 作品数が80点と少な目ではあったが、外に出たら良い月が出ておりました。天気予報だと今年の十五夜は望めないようだが。天文学的な満月とは重ならないので、天文学的満月は望めるかもしれないな。文字通りに。

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 本日のお茶。

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 お茶は17年はダージリン1stフラッシュ、タルボ茶園のもの。

 お茶請けは東京都港区はミラノ ドルチェ トレ・スパーデさんのミラノプリン。手前からプレーン、ピスタチオ、オレンジ。勿論麿さんと全て半分。

 

 濃厚でかつプリンらしくないもたれ感を是非推奨しておきます(笑)。