昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

ブリューゲル展に行ってきた

 場所は上野。極々一部のみ桜が咲いておりましたね。場所によっては満開のものもありましたが。

 この時期満開になるのは弁殿や陽光だろうかな?  東京は本日開花宣言が出ましたが、いきなり花冷え(つーか、桜雨?)なので満開になるのは先となりそうだ。

 

 して、フランドル、つまり現在のベルギー及びその界隈の地域のことだが、そこで誕生し150年に渡り西洋絵画史に多大な影響を与えた一族ことブリューゲル一族。誰が誰なのか知らなくとも、絵ぐらいは見た事ある人が殆どかと。

 

 第二のボスことブリューゲル一族の祖、ピーテル・ブリューゲル1世。

 人気のある父の作品をコピーして認知度を上げたが、自身は困窮に面した地獄のブリューゲルことピーテル・ブリューゲル2世。

 兄とは対象に花のブリューゲルと呼ばれ、裕福な生活を送ったヤン・ブリューゲル1世。前妻との間にヤン・ブリューゲル2世を儲け、更に下ってアブラハムブリューゲルが生まれる。他にも画業を生業としていたのは居るが、有名なのは彼等ですな。

 

 名前もそうなのだが、作風もよく似ていて「紛らわしい。」これが率直な感想だ。そして作品そのものは皆細かい。細部にまでこだわり、より画面に説得力を持たせている。

 

 殆どが本邦初公開というのも頷ける。名前を明かしてくれている方もいらっしゃいますが、2点以外は全てプライベートコレクション。つまり、個人蔵ってやつだ。

 同じ個人蔵でも場所を明かしてくれているのもあるので辿ってみたら、欧米各国に色々散っている。  

 

 展覧会名はブリューゲル一族とあるものの、同時代の画家もそこそこお目にかかれます。

 なーんでかってーと、16世紀当世、共作が一般的だったから。平たく言うと1枚の絵画を複数人が担当。つまりコラボが盛んだった。

 相互得意な分野を担当して描いて、相手に送ってというやり取りをしていたと。

 来日作品の中にはヤン・ブリューゲルの親子コラボもありました。

 

 仕事自体は各々の工房で行なう為、作品そのものが移動をしていた。その為、天候や輸送に耐性性の高い基板が選ばれた。選ばれたのは銅板。外因影響を受けにくい上に輸送にも適していたから。

 輸送に適しているかは不明だが、それを更に上を行くのが大理石。ただ、それに描かれることは稀だったそうだ。

 実際に大理石に描かれたものが2点来ていたので鑑賞することが出来ました。絵の完成度もさることながら、その躍動感といい、リアルさといい、凄かった。ポストカードにもなってはいたが、流石にこれは再現出来ないようで、是非実物を見るべきだろう。素直にそう思う。

 

 西洋美術において長い間低い位置に固定されていた風景画が全体的に多かったが、手触りが伝わってくるような作品が多かったです。

 水の透明感、空気の清々しさ、神話的な空の青さなど、ここまで肌に訴えかけてくるのは久し振りかと。

 

 その他風景画で目立ったのが、氷上スポーツをやっている人達。スケートやらカーリングっぽいのやらをやっているのがうかがえるのだが、一体いつからそういったのが行なわれるようになったんだろう?

 そしてオランダがスケート王国と言われる所以もこういったところにあるんかな?と。

 

 最後に目玉になっている農民たちの踊りの項目ですが、これ絵にしちゃいます!?というのがあった。⇒マールテン・ファン・クレーフェの《強盗に襲われる農民夫婦》。こんな作品初めて見たよ。

 

 広告にも使われているピーテル・ブリューゲル2世の《野外での婚礼の踊り》が最後にあったが、見た限りでは花婿居ないんだよね。

 花嫁は目立つところに居るんだが、ちぃーっとも嬉しそうじゃあない。一瞬誘拐婚?などと思ってしまった。

 

 展示作品数は100点程だが、さらっと見られたので2時間掛からなかったな。

 何となく心残りなのは、何故一族の繁栄が150年で途絶えたのか。完全に断絶してしまったのかそうではないのか。そういったことに一切触れられていないんだよね。

 それが消化不良感の原因だと思う。

 江戸絵画だって、有名な琳派狩野派だって結局どうなったんよ?てなのと同じ。

 

 ショップでお買い物をした後にもうと色々と見て回ったりしたかったが、どうせ動きゃしないだろうからそのまま帰宅して、最寄駅周辺で買い物をした後、夕飯の支度に取り掛かったさ。

 

 あ、明日(みょうにち)彼岸入りってことで、文太がよくサラダ代わりに食べて母に叱られていたラナンキュラスの花束を買って、骨壷の横に供えました。

 

 本日のお茶。

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 キリマンジャロという名の紅茶のミルクティー。    

 お茶請けはカプリコ。9本入りで食べたのは3本。