昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

プラド美術館展に行ってきた

 前売りを持っていて、期日がぁ~っっ!!てなわけで行ってきた。珍しく早く起きられたというのも大きな要因だが。

 2年前の冬にも三菱1号館で、別の切り口でプラド美術館展は行なわれている。

 

  展示数は70点と少ないが、そのものが大きいものばかりなので見応えがあった。ちょっと残念だったなと思ったのが、解説パネルの字が小さめだったというのと、欲しいところになかった。くらいか。  

 カテゴリーは芸術、知識、神話、宮廷、風景、静物、宗教というように分けられている。

 

 当世のスペインはカトリックが幅を利かせていたので、神話は異教である神々を描くのでNGと見なされていた。

 なので、プライベートコレクションという名の秘密の部屋での観賞といった形式が取られていた。

 また、カトリックは"理解を得易くする"為に絵画などを使っていたこともあったので、宗教画は必見。  

 

 17世紀のスペインは、ヨセフの価値が見直されヨセフ信仰が興ったくらいだ。

 これ、現代でもよくある話なのだが、信者や支持者が多いとその対象なる者の史実が無視される傾向になる。分かりやすい例としては、年が若くなり容貌が美化される。

 実際ヨセフもこれより前は老人に近い容貌で描かれていたのだが、壮年として、つまりマリアとバランスが取れた年齢として描かれるようになった。

 違った見方をすれば、理想の家族像が形成されたとも言えましょうな。

 

 今回メインに添えられているのがベラスケス。  

 日本では知名度はそう高い方ではないにせよ、重要なポジションにいる。お互いにいい影響を波及しあったルーベンスも中央に近いポジションにいましたね。

 他、影響を与えたであろう存在(同世代多し)として、エル・グレコ、ヤン・ブリューゲル(父)、スルバラン、ティツィアーノ、ヴァン・ダイク、グイド・レーニ、ムリーリョ。

 

 そして当世は風景画や静物画が台頭し始めた時代。

 これらって、西洋絵画ではジャンルとして確立したのは遅め。何故ならばキリスト教の概念において価値の無いものという位置付けに落とされていたから。

 今で言う肖像画や宗教画、少し譲って神話や古代の題材をしたものが芸術と呼ばれるものが芸術でそれ以外は認められなかったという認識。

 宗教改革もそうだが、風景画や静物画に理解を示す人達や擁護者、壇越がいたが為にスペインでも風景画や静物画の文化が花開いたと見ていいかと。  

 

 面白いことにその時代に存在している風景画や静物画にスペイン人画家はいないそうだ。

 国外なら、(キリスト教的理念という)根底は同じでも地域による価値感の相違はあるのだから、赦されるよね。だからコレクションに加えても問題ないよね?という意識も形成されたと思う。

 その他芸術家の地位を高めて格たる者とするためか、芸術理論が確立された時代でもあった。殆どが17世紀のもの。

 興味深かったが、展示されてもね、言語読めないんよ・・・・。

 

 ベラスケスは今回も幾点か来ていたが、矮人や知的障害者、道化など本来なら描かれることの無い人達を描いたことでも有名だ。

 会場内には来日していないが、描いた道化の作品が写真で展示されていた。こういった市井のものは基本的に残りにくいので、現代からは歴史的な資料や史料としても愉しめる(?)側面も持っている。  

 

 展示作品は大きいものばかりで、近づいたり離れたりして自分なりの切り口を探すのが面白い。

 中には遠近感がおかしいものもあるが、作品がそれは本来見るであろう位置と自分が観賞している位置にズレがあるから。

 

 大きいといえば、大きな男性頭部の画があった。2×2.5(単位:m)というから、夜その絵の前を通りたくないですね。目が合ったらイヤじゃん。尤もその絵はそういった魔除け(悪い虫除け?)的な意味を込めて作製されたものだそうだ。

 

 展示作品は少なかったものの、結構時間が掛かった。

 ショップはもう少しポストカードの種類があればなーと思った。

 図録がミニサイズと通常サイズとあったが、元々の作品が大きいのでそれはどうよ?といった感があった。

 食品としてカカオサンパカさんや生ハムがあったが、外が暑い為あまり売れていないようだった。つか、生ハム70gくらいだったか?で4千円となると、よっぽどの人ではないと買わないと思うがどうなんだろうか?

 オリーブオイルも冷薫タイプのやつがあった。珍しいが、ちょっと使いどころは難しい(実際使ったことあるから)。

 伝統的なお菓子も来ていた。がー、シナモン入りだったので諦めた。

 そしてその商品の説明をして下さいましたショップのお姉さんと話が合いまして、15分ほど最近の美術展や歴史などのトークを展開(←ハタメイワクなヤツめ)。

 

 その日はまだ時間があったのだが、家のことをしなきゃならんかったので仕方なく諦めた(泣)。  

 あ、そうそう。ルーベンスに関しては、近く美術展が開かれるのでそちらも行ってみたいなぁと思っている。

 

 本日のお茶その1。

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 お茶はミルクティー向けの紅茶。

 お茶請けは頂き物の焼き菓子・・・・って、キラズにゃに合わなさ過ぎだ!(とセルフツッコミをしておく)

 

 その2。

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 お茶は鳳凰単叢の銀花香、雪片の水出し。

 お茶請けは長崎銘菓ことよりより。