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日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

京都・醍醐寺 真言密教の宇宙展に行ってきた

 曇ってたね。雨降ってきたね。だからってわけじゃあないが行ってきた。11日までだしさ。
 
 大まかに前半後半に分かれるのだが、前半は結構な点数九州国立博物館のみの展示。逆もパターンもあるのだがそう多くはない。
 サントリー美術館は国宝や重文の取り扱いが多いのだが、会期が細かく分かれているので全部を見るとなるとかなり大変である。ちなみに今回は会期は8区分されていた(大体は前後半に分離)。

 

 展示は古い物だと奈良時代、新しい物だと17世紀、つまり江戸時代。
 展示の前半は創建や密教とは何ぞや?といった内容。密教空海さんや最澄さんらが中国から持ち帰ってきていますが、中国でも他から影響受けた部分が色々とあるようです。勿論日本に渡ってきてからも進化は遂げている。
 どの宗教見ても思うんだが、現世利益第一ってのは変わらんのな。
 
 醍醐寺が形成する結界の色って、時代によって異なる。と感じる。今回自分は《五大明王像》に中てられた。《如意輪観音坐像》は見ていてにへら~となるくらい柔らかい結界というか気を発していたのに、同じ時代に作られた《五大明王像》は何かそそけだつってーかなんてーか…。
 

 後半は権力との結びつきの関連をざざーっと紹介。
 特に興味があったのは南北朝時代醍醐寺北朝側についてます。

 そんな中、第65代座主の賢俊は足利尊氏の信任を得て権勢を誇った人。出自などは省くが、日記を残しており文和4年?(1355年)2月1日に尊氏の為に尊勝陀羅尼を21回音誦など修したとあるそうだ。
 尊氏が直筆で賢俊に宛てた書状も展示されていたが、書式の形式が私的な書状形式でした。
 で、その書状の隣には尊氏が賢俊の49日の仏事の為に書いた《理趣経》が展示されていた。こちらは楷書だった。初めて見たが綺麗な字でした。元々は巻子だったのだが、傷みが激しいので折本形式になったと。日付は年号忘れたけど、西暦だと1351年。日付は8月28日。尊氏が亡くなる1年ほど前ですな。署名は正二位源朝臣尊氏となっていた。
 
 なんでまーこの二人がそんなに親しいかというと、尊氏が反旗を翻す形になって湊川で負けて九州落ちする時に一緒について行ったから。後を任せた僧に、醍醐寺の座主で本来こんなことするような身ではないし、悔しいやら情けないやらてなことをこぼしておきながら、結局最後まで尊氏についていった。ついでに後を任せた僧には、自分が死んだ後の指示まできっちりと出して行っている。
 
 この人の後は足利義満満済という第73代座主が醍醐寺を盛り上げます。満済は義満の猶子であったせいか、室町幕府の政治的顧問を務めた。日記も残しており、今ではそれは政治・文化・外交の諸相を記録した重要史料となっている。
 尊氏と義満の間ってそんなに開いていないのに、何で座主の代が進んでいるのかというと、醍醐寺内で密教のどの流派が座主に就くかで内部分裂を起こしていたから。「自分達が北朝の勝利を願ったから北朝が勝ったんだ!」と主張するグループ同士の対立ありーの、就いたはいいけど却って状況悪化したから交換とか、オマエの流派が就くと異例になるとか矛盾するとかでごちゃくちゃに荒れていた模様。
 
 戦国時代は大人しかったようですが、安土桃山時代から江戸時代に義演という御仁が現れまして、醍醐寺の所持品なりなんなりをデータベース化した。この方は文化面や精神面から醍醐寺を再興した。
 安土桃山時代のものはそう展示されてはいなかったが、豊臣秀吉の影響もあってか、調度品などが絢爛豪華。事実傾いていたらしい醍醐寺を秀吉・秀忠が手厚く保護して資金面から再興させたのは揺るぎようのない事実。その返礼か秀吉は神様になってます。

 

 醍醐寺及び秀吉といったら欠かせないのが、醍醐の花見(これ、秀吉の最後の花見となった)。何とその為に700本も桜を移植したそうだ。全て同じ品種だったと思いにくいが、その中に太閤枝垂れという名称がついているものがある。
 何年か前にその時植えられた子孫(樹齢150年くらい)の桜が枯死する可能性が高い。という報告を受けた住友林業さんが、バイテクを駆使してそれを未然に防いだ。その太閤枝垂れ桜をパネル写真だけでなく、アクリル標本を会場の入り口と出口に展示してあった。小さくてとても可愛らしい桜でしたよ。アクリル標本だと枝垂れだとは分かりにくいですが。

 

 醍醐寺は山寺でかなり規模が大きいのだが、行ってみたいと思った。開山当初の湧水が今でも湧いているということも行ってみたい要因の一つ。ただ、結界に中てられそうな気がとても強い( ̄▽ ̄;)

 

 ショップでは実際に醍醐寺で売られているお香があり(7種類だったかな)、気に入ったのがあったので1箱購入してみた。値段も手頃だったしね。

 

 展示を後にして最寄り駅まで真っ直ぐ帰宅したものはいいものの、その後何となくセンサーが働いて寄り道して帰る。っと♪

 

 本日のお茶。

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 お茶は静岡煎茶。結構渋かったが、お茶請けが甘かったので良しとする。
 お茶請けは東京都練馬区はあわ家惣兵衛さんのねこ饅頭と肉球饅頭。共に麿さんから。