昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

夏らしくない八月終了

              曠 世(こうせい)

     空間越しに体温が伝わってくる

     こんなに近くにいるのにも関わらず

     どうしてこの距離は埋められないんだろう

     拳一つ分 その隙間が物凄く遠く感じられる

 

 

     いつまでも ずっと この腕の中にいると思った

     けど 気が付いたら引き寄せられる位置に君は居らず

     手を伸ばしても届かないところに手が見えた

     直ぐに駆け寄って 無神経にも抱き寄せてしまえば良かったか――  

 

     私自身ではなく 貴方を好いている私が好きなの?

     そんな言葉にも胸は痛む事はなく 「世界」の中、連続した一日を過ごす

     あまりの衝撃に感覚が麻痺しているのか

     それとも 元々自分の情などその程度のものなのか・・・・分からなかった

 

     「君」が 「貴方」が「自分」にとって都合良く変貌していく

     そう、この上なく都合良く――そして 幻想に支配される

     ・・・・もういい、もういいんだ 今更だよ

     どんなに想おうとも もう君は「ここ」には居ないのだから

 

     恨んでくれて 憎んでくれてよかった

     俺は一方的に君を傷つける事しか知らなくて

     そして 愚かにもそれを後悔することもなかった

     流れる涙を拭う術(すべ)すらも持ち合わせてはいなかったんだ

 

     雪に埋もれてしまえばいいのに

     あの時負った傷は 未だに熱く引きつれて

     ・・・・記憶を呼び覚まし続ける

     忘れられないから思い出すことも出来ない 封印され得ない記憶

 

     さようなら

     その言葉すらも継げずに別れたあの日

     消えない足跡を俺の心に残した君

     それは君なりの 俺への意趣返しか?

 

     おこがましいって解っている けど

     もし 生まれ変わりがあるならば

     再び巡り合った時 もう一度その手を取っていいですか?

     その時はきっと素直になれそうな気がするんだ

 

     祈らせて 君の幸せを

     願わせて 縁(えにし)が再び結ばれる事を

     やがてはこの身を炎が包む その時まで

     やがてはこの目を土が覆う その時まで