久々の美術館♪去年全然行けなくて悔しい思いをした。しかし今年もまた同じ事になりそうだ。万博の影響だと思うのだが、今年興味のある展示の多くが西日本で開催されるものが多いからだ(TヘT)尤も近場でも会期終了が重なっているのが多くて行けないというのもある。
あとね、チケット高くなったよね…。しかし美術館や博物館の収入になるのって、多くてチケット代の2割程度。だから会場限定の物販やコラボ商品、グッズ類の充実が図られている。
それはさておき、雪舞う中足を運びましたよ。
大覚寺は元々嵯峨天皇の離宮として造営されたものが寺に改められたもの(宗祖は空海さん)。現在は真言宗大覚寺派の大本山となっている。自分からすると南北朝が統一された舞台だねー。という認識がある程度。来年開創1150年記念ということで、先立って東京で紹介という形になった。
オカルト的な話も交える+近年感覚鈍化して分かり難くなっているのだが、展示会場となった建物を被(おお)っている結界?は黄色寄りの淡(うす)い黄緑色。寺社系の展示って何故か黄色、緑色、古金色といった色が多い。何でか知らんけど。
展示会場入るといきなりどでかい五大明王像がお出迎え。名称は不動明王、降三世(ごうざんぜ)明王、軍荼利(ぐんだり)明王、大威徳明王、金剛夜叉明王。うち3軀(く)が室町時代に作られたもの。残る2軀が江戸時代に作られたもの。言われないと同じ時代に作られたものかと思ってしまう。
大威徳明王様だけは牛に乗っている(そして足が6本!)のだが、牛の頭部だけ手拓のようなものがあったので、結構頻繁に触れられていたんだろうか?と思った。それから明王って、英語だとwisdom kingとなるのね。
して、例の如く神気に中てられてぐのんぐのんしておりました。ちょっとした浮遊感はあったものの焼かれるような感じがなかったのは幸いかね。
久古の物って自己主張激しいものが多い(大体そういう場合は近寄ると痛い)んだが、大覚寺という容(い)れ物に永年いた所為なのか、妙に納まりが良かった。繭玉的というか物々が持つ空気が何かふわんとうまくまとまっている感じだった。
あと不思議と全体的に保存状態がとても良かった。
五大明王像は平安時代末期を代表する仏師?の明円(みょうえん)さんが作ったものもあり、物凄く見応えがありました。うち2軀は西暦にして1176年と1177年に作られたものだと判明しているのも興味深い。そしてやっぱり神気に中てられる。中てられた結果(感触)が違うのは作られた時代背景なんだろうか…?
中興の祖として後宇多法皇や歴代天皇と宮廷文化、天下人との関わりをどんと紹介。そして関係の深い北野天満宮との協力によって今回実現した、源氏の兄弟刀とされる二振りの太刀、薄緑〈膝丸〉と鬼切丸〈髭切〉の展示がありました。
鬼切丸は『太平記』にも出てきますが、実物見たのは初めてでした。薄緑の方は幾度か見ている。大覚寺が所有しているのは薄緑の方で伝来記も共に展示されていた。
兄弟刀というからには憑いているもの?が似たような姿をしていると思っていたが、全然似て無くてびっくりですわ。
薄緑の方は兎に角大きい。で、雪子(黒子の白バージョン)みたいな恰好をしている。面に何か描いてあるのだが細かなところまでは分からなかった。顔は隠れて分からないが体格からして男性。翻って鬼切丸の方は白桜襲(しろざくらがさね)を纏った可愛らしい女の子。見た目年齢5歳くらい。無邪気というか天真爛漫でまだ善悪の判断が完全についていなさそうな感じでした。
共通点は纏っているものが白ってことぐらい。ただ同じ白でも神と人との中継ぎの役割を果たす方の白色だったので、寄進物として奉納された経歴持ってんのかな?とも思った。
最後はこの展示の目玉とも言える障子絵や襖絵といった障壁画を大公開。このエリアのみ写真撮影OKです。
天皇が寺院内に留まる時に使われる御冠の間という、一般公開されていない場所がある。それを今回特別に許可を取って実物大スケールで会場内で再現したコーナーもある。
それがコチラ↓
中央やや左の台に鎮座しているのが御冠。
この更に奥は「剣璽の間(けんじのま)」がある。何が中にあるかというと、三種の神器。中世の天皇は剣璽の間の入口を背にして座るのが正式とされたので、そういった構造になっている。
狩野山楽が手掛けた障壁画が素晴らしいには素晴らしいのだが(写真はない)、背景が金色なんだよね。当時の照明からすると問題ないのかもしれないが、煌びやかすぎて落ち着かないと感じるのは自分が根っからの庶民だからなんだろうか?
そして最後に明治時代に起きた日本史の汚点とも言われる廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)から、歴史ある大覚寺といえど免れることはなく被害を被った。廃仏毀釈ってナニ?と思った方に一言で説明すると、仏教排斥運動のこと。
文明開化なんて小綺麗な言葉で語っちゃっているけど、アレは今までの自国の文化や歴史を無視し、徹底して破壊しようとしたただの暴力革命。これにはダーイッシュも真っ青さ。著名人や名高い文化人などが止めに入ってすんでのところで止まったからいいものの、そのまま進んでいたら恐らくこの国なんて消滅していただろうね。
話を元に戻して、ショップには展示のもう1つの目玉である源氏の兄弟刀のグッズが多かった。但し大覚寺が所有しているのが薄緑ということもあり、薄緑のグッズの方が多かったかな。
自分としてはポストカードの種類がもう少しあればなー。とは思った。
八方良菓さんというところが面白い焼き菓子を販売していた。何でも京都の副産物や規格外品を活用して作ったシュトーレンで、興味本位にスライスタイプを購入してみた。
ショップを後にして、その後情報回収をして即帰宅しました。
この展示を見て京都に往ってみたいとも思ったのだが、宿とか取れなさそうなので諦めた方が賢明か?と思っている。