昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

山姥切国広展ー名匠の軌跡、名刀の誕生ー展に往ってきた

 足利に足を運ぶのは何度目だろうか?

 まー片道3時間以上かけて往ってきたんだわ、このくっそ寒い雨の中。チケット当選したの今日だったしね。

 チケットの半券と共に頂いた↓

 

 制限時間1時間の完全入れ替え制だったので、じっくり鑑賞することは叶わなかった。メインはちゃんと見ることが出来たから、まぁよしとするか。たださら見だったので詳しいことは書けない。

 メインであるW山姥切こと本科(本歌)と写し、2振り揃っているのが重文となっているのはこのペアだけらしい。

 2振りなので伯仲叔季(はくちゅうしゅくき)の上二つを取って、伯仲の出来と言われている。伯仲叔季の意味は長子、次子、3番目、末っ子という意味。伯仲だと兄弟という意味になるが、甲乙つけ難しという意味もあり、この場合は後者の意味となる。

 本科と写しとは、手本というか原作。写しはそれを基に敬意を持って作られた複製品。複製品でも悪意を持って作られたのは贋作。レプリカは資料という解釈でほぼ問題ないかと。イミテーションとかフェイクとかコピーとか複製品を指す言葉は色々あると思うが、掘っているとキリないんで、ここでは割愛。

 

 して、写しが作られる理由としては、刀工自身が腕を磨く為や本科の身代わりとして。というのが主なもののようだ。

 山姥切国広の本科は本作長義と言われている。長義(ながよし)は長船一派にありながら最も長船から乖離した、小反(こそ)りものの代表格の一人で、南北朝時代のお人。

 で、山姥切国広は新刀の祖と言われている、堀川国広(本名は山田金太郎とのことらしい)が作刀。この人はっきりとした経歴が不明でよく分からんお人。山伏をしていた時もあったらしいのだが、その時も作刀はしていた模様。

 ぽつぽつと足跡は辿れはするものの、空白期間が多い。宮崎出身で足利に足を運び、最終的に京に住まいを決めた。堀川は京都の地名から。

 現存刀は多いものの、最も古いものが国広が46歳の時のもの。ただこの人当時にしてはかなり長生きで享年は84歳とのこと。お弟子さんも多く、83歳まで作刀していた。パワフルなじいちゃんだね…。

 几帳面な性格なのか、茎(なかご)つまり刀の柄に収まる部分にしっかり銘などを刻んでいる。そして彫り物が滅茶苦茶巧み。どんだけ器用だよ!?とツッコまずにはいられない。

 元々大太刀だったが摺(す)り上げられて、つまり小さくカットされて刀にされた本作長義の茎にも由来を刻んでいる。その文字数は51文字だったかな?やっぱりこれも以下略。

 

 まーこっからちょっとオカルト的な話。しっかりと視えている人とは解釈違うかもしらんので、信じるか否かはご自由に。

 相性や体調にもよるが、久古の物が色などを纏って視えることがある。相手が人形(ひとがた)を取っている時とかもあるが、目が合うことはあまりない。気配を感じることもあるが、大抵そういった場合は中てられる。

 

 国広の刀って、色纏いや花を纏っているの多いんよね。淡い色が多い中、今回自己主張が強かったのが、色纏いとしては珍しく紫色を纏っていた刀がいた。名称は覚えていないのが悔やまれるが。

 で、足利学校で打ったとされている布袋国広は、相変わらずどこの桃源郷だよ、オイ。ツッコまずにはいられなかったが、布袋さんが見ている夢?は中国の水墨画のような世界で桃の花が満開だった。

 他に印象強かったのが薙刀。こちらは千歳緑というのかね?深緑(しんりょく)の色を分厚くまとい「アタシを見なさいよ、ねぇ!」と国広のものにしてはかなり自己主張の激しい姐さまでした。年の頃は今でいうと30代前半くらいですかね?

 

 そして展示室一室を丸々借り切って二振り並べて展示されていたのがW山姥切。

 本科と写しなんだが、あまり似ていないと感じた。恐らく私淑+独自解釈(国広の矜持)が刀に顕現されているからなんだろうなー。と思った。

 物理的に見ればそんな感じなのだが、視て思ったこと⇒纏っている花が同じ。

 本科こと本作長義がアナベルという薄いライムグリーン色の紫陽花で、山姥切国広こと写しが少し紫がかった濃い青色のハイドランジア(紫陽花)。

 

 へぇっと思ったのが、本科に宿っているの女性なんだよね。18~23歳くらいのロングのストレートで半眼状態で刀本体を包み込むようにして持ち上げて?いた。刀そのものは淡い光のようなものを纏っていて、光の色はどちらかというと神と人とを繋ぐ方の白。表情は口角がかすかに上がっているのかな?くらいの微笑み加減。

 今まで何振りか長義の刀見てきたけど、宿っているのが全員男性で豪放磊落というか鷹揚というか、どっしり構えているタイプばかりだった。そして皆体格大きめ。尤もこちらに宿っているのも同じような風格の持ち主だったので中身は似たようなもんかもしらん。

 

 翻って国広の方はというと、相変わらず色纏いは多い。雨上がりの空の青と紫陽花の青とそして洗いざらされた植物の蒼(色的には艶やかな緑)。そして生絹(すずし)のような白(こちらは神とサシで対峙する時に纏う白)。

 相変わらず展示ケースの外にいたけど、今回は一歩引いて少し緊張したような面持ちで本科の方にちらちらと視線をやってましたね。髪は黒み帯びた栗毛で手触り良さそうなショートカット、年の頃は25~28歳くらいか?あと、こちらは男性。

 

 時間ギリギリまで鑑賞しつつ、地下の展示室へと移動しました。

 若い女性のグループが多かったのは↓のが要因なんだろうな。

 

 市を挙げてのプロジェクトらしく、至る所に↓が見られた。

 雨降っていなかったら街歩きを愉しみたかったが、とてもではないがそういった状況ではなかったので諦めた。あと、美術館の近くにあるおはぎの専門店でおはぎを買えなかったのが口惜しい!

 なので、地元のスーパーでお買い物。そこに向かう途中、山伏っぽい恰好をした人がいた。高下駄?履いて巻き脚絆していて宝冠被ってとったことったこと歩いていた。下の袴?は白で上は黄土色っぽかった。遠かったし後ろ姿しか見ていないが、背中に菊綴(きくとじ)のようなものがついていた。

 何かイベントでもあったんですかね?

 

 地元のスーパーと駅改札前の観光案内所+お土産所でお買い物したら荷物の量が7kg近くなり(もしかしたら超えていた可能性もある)、重い思いをして帰途につきました。

 帰宅して夕飯の支度の前に本日のお茶。

 お茶は冷たい麦茶。

 お茶請けは栃木県足利市はガーデンカフェ 南の麦さんのあずき&クリームチーズパン。

 小豆にクリームチーズか、どんな味だろう?と思って買ってみたのだが、相性が良くてもう1個買うべきだったかー。と思った(といっても最後の1個だった)。

 お茶との相性も好かった。

 また行く機会があったら買おうかね。