昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

国宝の刀 伝えられた武士(もののふ)の心展に行ってきた

 都内にありながら駅からそんなに近くない美術館(←そりゃ目白駅から行けばそうだろうよ)、永青文庫。ちぃとばかり場所は分かりにくいかも知らん。講談社の野間美術館のすぐ近く。この近辺は意外と美術館が固まっている。が、ビミョーな距離感がある。

 

 で、行ってきましたよ。

 展示されていたものは江戸時代のものが一番多かったが、ぃよっしゃー!と思ったのが国宝の太刀、豊後国行平作。古今伝授といった方が通じはいいだろうな。展示品の中でもこれが最も古く、平安から鎌倉時代にかけてのもの。拵えもセットになっていて、実用的な格好がなんとも言えず、良かったです。

 南北朝時代の刀で、茎(なかご)、刀の柄に埋まっている部分に金象嵌で「海賊」とあるものがあり、所有者誰だよ!?と思いましたね。ただその刀、鍛えが刃先から柄の方に行くにつれて、素人が見ても目に見えて変わっていくのが判るという、変わった代物。

 

 ・・・・・・あ、南北朝時代で思い出したが、ここは企画展示の隙間にコレクション展示を配置するという、ちょっと変わった方法で展示しているのだが、隙間展示の中にあるものを見てしまいました。

 見つけたものというのは、楠正成布陣図。

 一体何かというと、それ、大楠公直筆の布陣図なんですよ。何で?と思ったと同時に、残っとったんかーい!!という感情が強い。記録所に就いていた所為か、元々そうなのか分からないが、とても字が読み易かった。字は崩しておらず、楷書体でした。

 建武二年の三月の作戦で、山岳戦の図でした。正成さんは名和長年と違って船戦が苦手なイメージありますが、足利勢が再度上洛して迎撃戦を展開するにあたり、彼が進言した作戦が採用されていたら、陸を新田義貞(及び脇屋義助)に任せ、楠勢が船戦を展開するという流れになっていたはず。

 となると、陸:新田義貞VS足利直義、海:楠正成VS足利尊氏となっていただろうな~。海上戦はともかく、陸戦は多分直義持たなさそうだな。政治に関しては文句なしだが、どうしてあんたはそんなにも弱いんだ?と言いたくなる位連敗する男だから(斯波氏よりマシだろ)。ただ、新田義貞、見た限り攻めの戦は強いが守りの戦には弱いんだよね。

 

 まーいい加減話を元に戻してっと。

 刀に興味なくても「関の孫六」という名を聞いたことがあるかと思います。関の孫六とは2代目兼元という人なのだが、そんな彼の代表作も展示されていました。

 刀工さんに限らず、同じ名前を名乗っている人というのがかなり多く、一体お前は何代目なんだよ!?と胸中ツッコミを入れたいことがしばしばある。分かる人には分かるらしいが、到っ底そこまで目利きが出来るレベルなんかではないので、うがーっ!!ってなる(←・・・・短気だな)。

 

 刀の他に展示されていたものは、刀剣鑑賞に欠かせない鍔、拵え、目貫(めぬき)など。特に鍔はそれだけを集めている人というのがいます。見ればはまる人がいるのも分かります。あとは目貫だけとか。3cm位の小さな細工物だが、信じられないくらいの超絶技巧がそこに繰り広げられている。

 個人的に鑑賞をオススメしたいのが林又七、神吉楽寿。優美な作風で、デザインも現代にも通用しそうな感じです。

 

 展示作品数はそんなに多くないので早い人なら1時間掛からないと思う。自分は1時間45分くらい掛かった。本当はそれ以上見ていたかったのだが、なにぶんここ、暖房ないんだよね。身体はキンキンに冷えていくし耐えられなかったので諦めた。だが、展示品はコレクションを含め全て見たぞ。

 ついでに庭では紅葉が綺麗でした。

 

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 お茶は12年はダージリン1stフラッシュ、セリンボン茶園のもの。

  お茶請けは呉越同舟セット。イラン産のグリーンレーズンと、アメリカ産のオーガニックミッドナイトビューティー。と、小岩井のチーズクッキー。