昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

月展とカリエール展に行ってきた

 場所は渋谷と新宿。天気が良かったので自転車で行こうとしたが、思い直して公共交通機関で行くことにした。


 先ず渋谷の松濤美術館で開催されている『月―夜を彩る清(さや)けき光』展へ。余談だが、渋谷、神泉、松濤、鍋島とこの近辺は水に因んだ名が多い。湧水地域だから当然といえば当然だが。

 

 展示内容はかなり事細かに分かれているが、展示作品外で面白いのが渋谷区内の小中学生が書いた月に因んだ俳句(直筆)。作品自体観賞するのにそう時間は掛からないが、全員の俳句を読むとなるとかなりの時間を要するだろう。笑ってしまうもの、シュールレアリズム(超現実)を感じさせるもの、化学的な発想を絡めたものなどこちらはこちらでとても楽しめる。

 

 展示作品は名所、物語、詩歌、信仰、コラボ(例えば月と山水・草花)、武具・工芸品などに分かれている。展示エリアは小さいのでどこから見てもいい。作品は江戸時代のものがメイン。前期なら鎌倉時代(13世紀)の月天があったのだが、後期だったので室町時代(15世紀)の月天を見てまいりました。月天の両の掌の上に白兎がいて、可愛らしかったです。
 物語は誰もが知っている『竹取物語』が出ておりました。日本で最も古く有名な物語なのにも関わらず、作者不明なのだよな・・・・。

 

 ポストカードとしか欲しかったのが白峨の《月に芦雁》。
 なんとこれ、焼絵(やきえ)なんですよ。熱した鏝(こて)などで紙や竹などに焦げ目を使って絵を描いていくというもの。見た目はセピアインクで描いたよう。

 他には月兎漕舟図。画面の空白の生かし方が自分好み。そして現在のデザインと言われても違和感が無い。

 

 こう見ていて思ったのが、日本のものって「空間を如何に生かすか」という技法が多いと感じる。留守文様もそんな感じよのぅ。
 留守文様とは、主役が描かれておらず、それにまつわるもののみが描かれており、状況を判断するには一定水準以上の教養が必要。

 武具や工芸品は前期後期の入れ替えが殆ど無し。勿論武具といったら外しちゃ語れない後藤一族作品が多い。翻って工芸品の方は一切作者名が無かった。何でだろうね?

 

 次に新宿の損保ビルにある損保ジャパン日本興亜美術館。42階まで直通エレベーターなので、三半規管の弱い自分には辛い。で、快晴になったので展望出来るエリアは綺麗だったよ。
 展示は『没後110年 カリエール展 セピア色の、想い(パンセ)』
 カリエールは19世紀のフランス象徴主義を代表する画家。正直日本での知名度はそう高い方ではない。今回の作品も殆どが個人蔵。国内で彼の作品を所蔵しているのは新潟市美術館のみ。
 気になる絵の方はというと、印象派や象徴派が好きな人が多い日本人が好みそうな画。題材も身の回りの世話、日常の風景、母子像など馴染みやすいものが多い。色も展示名の通り、セピア色が基本。

 

 今回見ていて「ん?」と思ったのが額縁。ないものもあったが、皆素朴でシンプル。一般家庭の壁に飾ってあっても主張し過ぎず、その家の一部なんだろうなーと思えてしまう。

 カリエールの作品は彼の妻や7人の子供達(うち、第二子にして長男は夭折)が描かれてるものが多い。
 作品からある一定の距離を取ると、今迄どうということのない空間から、物語が急に浮き上がってくるので、観賞するなら1m以上離れて観賞するのが好いかと。
 館内は結構人がいたのだが、音立てちゃならんのだろうか・・・・と不安になるくらい静かだった。お一人様が多かった所為だろうかね?ただ、集中して観賞したり、絵画から溢れてくる物語を読むには適していたよ。

 

 今回は両展示ともそう時間が掛からなかったので、お買い物をして帰ろうかとも思ったのだが、起きてから一切飲まず食わずで動いていたものだから流石にこの状態で買い物をしてはならないな。と思い直して家へ直帰。
 で、本日のお茶その1。

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 お茶はアフタヌーンティー(製品名)。
 お茶請けは、胡麻と味噌のマドレーヌ(?)とトースト。アルゼンチン産のバターとイラン産の白桑の実のジャムを合わせたもの。
 ジャムは元々もっと白かったのだが、保存していたら変色した(苦笑)。
 ミルク(カード?)系のジャムやママレードのような皮入りのジャムで無い場合、セーフティーボタンを確認後、冷暗所に幾年か保存してから食べる。というのが自分流儀。見た目の色が悪くなるが、こなれるのでこっちの方が好みだ。保存期間は5~10年くらいが多い。このイランのジャムは購入してから11年後のもの。


 お茶その2。

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 麿さんが料理教室から帰ってきたので、作品を頂く。きび糖を使ったり豆乳を使ったりと、ヘルシー且つ安心して子供にも食べさせられるものだそうだ。
 お茶はニルギリ。

 

 お茶その3。

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 乾燥している所為か喉が渇く。普段からそう水分摂取をしない所為もあるんだろうけれど。
 お茶は15年はダージリン1stフラッシュ、アリヤ茶園のムーンビーム。麿さんのリクエストである。
 お茶請けは台東区浅草は満願堂さんの芋きんどら焼き。晩御飯に丼1杯近い野菜(加熱済み)+おこわ(母が食べたいと言って買ってきたもの)+クリームシチューを食べたので、麿さんと半分してみた。