関東南部の平地では遅咲きの桜と八重桜がいい感じで満開に近づいている。
荷物持ちとして連行された帰りに、ちょいと首を巡らせたら八重桜を透過した先に月が見えたので一首詠んでみました。
月は上弦には少し足らず、範疇としてはぎりぎり三日月でしたね。自分が六日月の生まれなので何か縁を感じました。
読みは「いざこよと げっかのなかの かんなびで しんなるものが ふとえみたまう」。
今回詠みだけは直球。何の捻りもないですが、情景は分かり易いかと思います。
意味は、月の光の中でさぁおいでなさいと䰠(しん)なる存在が、ふわっと笑った。と、まぁこれだけなんですが、䰠をどう解釈するかによってかなり変わってくるかと思います。
月下も月華も意味は殆ど同じ。䰠が下りていることに掛けるか、咲く(笑うの古字)に掛けるかで悩んだが、䰠の意味を考えて月華にしてみた。ついでに月と花の意味もあるから桜とも関連付けられる。
神奈備は甘奈備、神名火など色々な字がありますが意味は全て同じ。別に神籬(ひもろぎ)でも磐座(いわくら)でも良かったんですが、語感で選びました。意味は神が鎮まるところ、神霊が依代(よりしろ)を擁した領域、神域など。
桜に限らず、満開の花の下って何か特別な感じがするので皮膚感覚としては何かの領域内だなと感じる。
䰠は神、鬼神、山の神、不思議なもの、妖(あや)かしといった意味を持つ。
鬼神と解釈した場合、それを死者の魂とするか、天地万物の霊魂とするか字のままにするか、超越者とするか。解釈によっては梶井基次郎の『桜の樹の下には』を思い浮かべる人もいるかもしれない。
山の神と解釈した場合、桜はさ=山の神、くら=磐座という言葉でもあるから、そのまま(農業神の役割を持つ)山の神としてもいい。が、そういった性質を持たない山の神だとしてもどの属性なのかにもよって情景の雰囲気が違ってくるかと思う。
個人的な解釈だが、ふとは意訳している。ただこれ、「ふと」ではなく「つと」だったらちょっと怖いかも。いざ来よで目が合っている状態だと思えるから、その状態で急に笑いかけられたら、なぁ…。
してまぁ、今回こんな感じ。
自分で詠んでいて思ったが、使う言葉が現代的ではないなと思う。