昨日の不倶戴天の敵は 今日の刎頚の友

日がな一日世界の傍観者となって独り言をのたくった跡

月の綺麗な晩だから 八日月編

 思えば6月ですな。夏越の祓えじゃー!(←って、分かるネタを振れよ)夏の場合は茅の輪くぐりといった方が通じがいいかな?
 一体何かというと、罪や穢れを祓う神事で、6月と12月の晦日に行なわれるもの。手元のメモによると、だ。大宝律令(701年)に正式に宮中行事になった。つまり。それ以前には存在していたということになるな。んでもって応仁の乱によって途絶え、江戸時代には復活。その時に宮中だけでなく全国に広がったとか。

 

 6月というと鮎の解禁でもあるが、和菓子でも若鮎というお菓子が出回り始める。鮎を模した焼き菓子なのだが、中はなかったり、求肥のみだったりあんこだけだったり、求肥と餡だったりする。
 この時期になると和菓子も琥珀製が増えてきて、見た目涼やかになりますな。代表的なものとしては若葉の陰ですかな。
 あと、忘れちゃならないのが水無月。6月限定(正確には6月30日)の厄除け菓子。ここ何年か関東地方でもよく見られるようになりました。氷又は御幣を模した三角形の和菓子で、上部が小豆層になっている(下部は何も入っていない)。小豆の代わりに杏子の甘露煮なんかが入っているものもある。個人的には杏入りの方が好みである。小豆が入っている理由は、小豆の赤色が魔除けとされているからだ。
 余談だが、氷室の氷を夏に食べると夏バテしない。という言い伝えがある。

 

 他、6月には16日に嘉祥(かじょう)菓子という厄払いのお菓子を食べたりもする。神社によってはこの日に参拝者にお菓子を配ったりするそうな。

 

 もう一つ知識を盛ってみようか。
 和菓子の原材料で、米や豆があるのは御存知の通りかと。あれ、ちゃんと意味あるんですよ。
 お米は稲作や霊魂の象徴。ひらがなの「さ」がそれに関連する言霊を宿しているとのこと。思えば農業の開始、山から田畑の神が下りてくるのを知らせるのが桜の花、穀物の気を宿す酒、平野に気が満ちるのを知らせるとされているさつき。こじつけに聞こえるかもしれないが、皆「さ」がつく。
 豆は「魔を滅す」に通じるので邪気を払うものとされている。節分で豆を撒くのもその為。
 蓬が使われるのも祓い清めの意味がある。古今東西、匂いや香りの強いものは邪気を払い、特に病魔を寄せ付けないとされ、これは科学的にも立証されている。

 

 何でこんなことを書いているかというと、本日夕刻西の空がこれでもかっ!てなくらいに綺麗なグラデーションを形成していて、そこに富士山のシルエットがくっきりと浮かんでいた。そのグラデーションや配置が某メーカーさんの羊羹を思い起こさせたから。

  あ、勿論見渡す限り雲一つない空でした。写真がないのが残念だが、ま、それは致し方あるまい。

 

 本日のお茶。

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 お茶はスリランカはニュー・セント・ジォエキム茶園のルフナのBOP。
 お茶請けは長野県上伊那郡は北川製菓さんのケーク オ フロマージュ及びショコラ。意外に熱量は高め。